ドンキの謎
最初はドンキについてである。
「ドンキは、小売店あるいは量販店である」
などということを言いたくて文章を書いてるわけではない。
鈍器(ドンキ)についてである。
新聞などで「被害者は鈍器のようなもので殴られ・・・」という記事を見かけることがあるが、違和感を感じる人はいないだろうか。
「鈍器のような」だって?
たとえば、「象のような形の雲」や「キツネのような動物」みたいに、見たことがあるとか、具体的なモノを想像できる形容ならばわかる。
でも「鈍器のような」みたいな形容はねえ・・・?
「ソレって、ナニを想像すればよいの?」と言いたくなる。
そもそも、一般の読者やテレビ視聴者は、”鈍器”という語から何を想像できるだろうか。
ネットで鈍器画像を見てみると、様々な道具(凶器)が見られる。
スパナ、金づち(ハンマー)、バット、バール、鉄パイプ・・・。
『デジタル大辞泉』で「鈍器」を見ると
1 切れのにぶい刃物。
2 凶器となりうる、こん棒・れんがなどのような、固くて重みのあるもの。
とある。
<こん棒>って・・・。
個人的には、「こん棒」という語は、昔の童話でよく見かけるくらいである。
なぜか、西洋童話では、「こん棒」という語をよく見たような記憶がある。グリム童話とか(「テーブルよ食事の用意を!」)。
治安がとっても悪かったのね?
どちらにせよ、今日でこん棒を持ち歩いてる人にお目にかかることはめったにないだろう。
バットならあるね。スパナは特定の職の人やメカ好きでないと。
犯罪事件で、凶器が鋭利な刃物か「鈍器」かはそんなに重要なことだろうか。
事件現場や被害者の傷の様子を見ればすぐわかるのにね。
まあ、事件が衝動的なものか計画的なものかを知る大切な手がかりかもしれない。鈍器ならば、たまたま手にしたとか、自衛のために所持してたと言えるだろうが、刃物を持ち歩く人はまあいない。「他者に殺意があったから、刃物を持ち歩いてたのだろう」と推定しやすい。
鈍器が凶器の場合は、鋭利な刃物にくらべると、犯罪実行者が必ずしも血痕が付着していないということも重要だろう。
でも、まあ鈍器に類する物も日常的に持ち歩かないよね?
「あんな奴が上司ならば、アタシあいつに鈍器を一発お見舞いしてやるわ」
などとフツー?の会話で出てくるほどには、”鈍器”という語は日常会話向きではない。
”ドンキ一発”と受け取られたら、会話が成立しないだろうね(商品券でも手渡すのかと思われるか?)。
もちろん、「スパナでメッタ打ちにしてやるわー」では話し相手に引かれる。日常会話的にはマズいだろう。
鈍器は英語で blunt instrumentと記す(blunt は〔刃・先などが〕とがっていない、切れ味の悪い)。
ちなみに、楽器は、musical instrumentだ。
丸みのある楽器も犯罪に使えるかもね。ドスンと一発・・・・。